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【チェコ】プラハ市の交通運賃割引制度

プラハ市ではこの10月から、学生と高齢者を対象とした運賃割引制度をスタートさせる、とのネットの記事がありました。

プラハ市民で60歳を超える人と、26歳までの学生は、一年1,280コルナのクーポンを購入できるというもので、このほかに1ヶ月130コルナ、3ヶ月360コルナのクーポンも用意されるそうです。
現在学生は10ヶ月で2,400コルナ、シニアは5ヶ月で1,100コルナのクーポンが買えるが、
この制度によって学生とシニアは年間60%以上、費用を抑えられるだろう、との関係者の声が載っています。

学生の場合、10ヶ月で2,400コルナということは、12ヶ月では2,400÷10×12=2,880コルナ。
これが1,280コルナになるのであるから、減少割合は(2,880-1,280)÷2,880=55.55…%。
シニアの場合は、5ヶ月で1,100コルナなので、12ヶ月では1,100÷5×12=2,640コルナ。
これが1,280コルナになるのであるから、減少割合は(2,640-1,280)÷2,640=51.51…%。
自分の計算では、お偉いさんが言うほどのコストダウンはなさそうなのですが、実際にはこれ以外に負担があるのでしょうか。

割引によって減少する収益の財源には、市の予算を充てるそうで、その額は2億800万コルナと見積もられているとのこと。

ちなみにチェコの通貨コルナ(CZK)は、10月30日現在、
1 CZK = 4.96 JPY ですので、1,280コルナは6,349円となります。
1ヶ月130コルナは645円、3ヶ月360コルナは1,786円です。
2億800万コルナは10億3112万2039円…

東京近郊であれば、1ヶ月645円の乗り放題切符なんて、2,3日で元が取れそうです。
しかもこのクーポンは列車、路面電車、バス、地下鉄とさまざまな交通機関で使えるようです。
現地の物価水準がわからないのでなんともいえませんが、これは相当の大盤振る舞いではないだろうか。
もっとも東京にも、70歳以上の都民を対象にした、
年間1,000円の負担でバスなどが乗り放題になるシルバーパスの制度(詳細はこちら)があるので、
行政施策としては珍しくないのかもしれませんが…

プラハ市の人口は約120万人で、日本でいえばさいたま市と同じくらいです。
さいたま市の平成30年度の一般会計の当初予算は約5,540億円ということで、
10億円程度の捻出は可能なのかもしれませんが、大丈夫なのでしょうか…

Photo via Good Free Photos

 

【チェコ】若者の飲酒喫煙に関する記事

がチェコの新聞に載っていたのですが、ここで報じられているのはアイスランドでの事例で、それがチェコとどう結びつくのか、文章を読んだ限りではわかりませんでした(記事はこちら)。

記事によると、90年代後半ころのアイスランドの若者の飲酒喫煙、薬物摂取の状況はヨーロッパでも最悪レベルだったとのこと。15,16歳の40%以上が習慣的に飲酒喫煙していて、17%は大麻の経験があるとする調査結果もあった。金曜の夜のレイキャビクは、荒れたティーンエージャが騒いで、危険な雰囲気に満ちていたそうです。

この事態に対して国を挙げての矯正プログラムを作成・実行したことにより、今ではこれら悪習慣はほぼ撲滅されたそうです。13~16歳の未成年者に対する夜間外出禁止令、20歳未満の若者への酒類販売と18歳未満へのタバコ販売の禁止といった政策のほか、学校の課外活動、特にスポーツへの参加に重点をおいた支援を行った結果、国のサッカーチームがヨーロッパの大会で上位の成績を残すまで成果が上がった。何よりもプログラムは家族の生活に目を向けていて、子供たちが両親と最良の時間を過ごせるようになったと結んでいます。

記事ではこのアイスランドの成功に触発された欧州プロジェクトに、17の国と35の都市が参加している… としていますが、その中にチェコも入っているのかどうかを明らかにしていません。文章中にはチェコのチェの字も出ていないのです。

アイスランドというのは、北海道よりやや広いくらいの面積に、32万人程度(2012年:旭川市と同じくらい)の人が暮らす島国です。若年層が荒れる風景というのは大都会のイメージがあって、原始的な自然景観が残る国とはどうも結び付けにくいのですが、どんな社会でもそれなりに、若い人たちへの扱いに大人が苦労する場面があるということなのでしょう。チェコも比較的のんびりした印象がありますが、同様の悩みがあって、それがこうした異国の成功例を記事にとりあげた背景なのかもしれません。

(アイキャッチ画像はチェコ紙「Týden」電子版より)