ラトヴィアの漁船が、ノルウェー北方海洋上にある、スヴァールバル諸島付近で違法操業の疑いで拿捕されたらしく、それに関連して、バレンツ海におけるズワイガニ漁の記事が載っていました。
内容は、現時点での漁獲高がいくらであるとか、市場価値がどうのこうのとあるのですが、あまり深く分析してはおらず、一方でイギリスやオランダが興味を示している、付近の石油やガス田がその背景にあると、いささか週刊誌ネタのような筆致になっています。件の拿捕漁船に至っては、ノルウェーのキルケネス港に係留されて、ラトヴィアの農業省と外務省が対応にあたっていると書いてあるだけです。
ところで、ズワイガニといえば、日本ではポピュラーですが、欧州でもそうなのかしらん? と気になったので、少し調べてみました。まず、ズワイガニの前に、タラバガニのお話を。
タラバガニというのは、もともと日本海やオホーツク海を含めた北太平洋や、南米付近の深海に生息する大型蟹なのですが、何でもソビエトの時代に、カムチャツカから生きたまま輸送して、バレンツ海に放流したらしく、それが繁殖に成功して、現在はこの北洋の海でノルウェーとロシアが、漁業資源として捕獲しているのです。ズワイガニも、元来は北太平洋を生息地にしていたのですが、これも最近バレンツ海で獲れるようです。ただし、ズワイについては、バレンツ海に出現するようになったいきさつを明らかにした文献を、まだ見つけていません。
タラバガニは生息範囲を急速に広げていて、天敵がいないこともあってノルウェーの沿海では既存の生態系への影響が出ているようです。しかし海中の生物ということで対応が困難な上、タラバ自体が漁業資源として有望ということもあり、対策に苦慮している状況のようです。ズワイガニについては、今のところ、こうした環境問題を提起するまでには至っていないようですが、外来種であることには変わりはなく、今後の展開に注意したいところです。
それにしても、ズワイとかタラバとか、日常耳にして、年に何回か?食べたりはするのですが、正直違いがよくわかっていませんでした。タラバガニは蟹というよりヤドカリの仲間である、だから?カニ味噌はほとんどない、足の数も違う… など、あらためて勉強できました。
記事によると、ズワイガニ脚1kgが83ノルウェークローネ(1,138円)だそうで、日本に比べると安いように思えます。