月別アーカイブ: 2018年12月

【カナダ】炭疽病で野牛13頭が死ぬ

人が、インフルエンザのようなウィルスによる伝染病や、破傷風のような細菌性の病気にかかるのと同じように、野生動物や家畜にも、こうした罹患による発症があります。
日本でも、鶏などへの鳥インフルエンザ、豚への豚コレラなどの感染が、最近ニュースをにぎわしました。

カナダで野牛が13頭、炭疽症で死んだとの報道を見ました。

炭疽症あるいは炭疽とは、炭疽菌の感染によって発症する、主に家畜や野生動物のかかる病気です。

炭疽菌とは、自然界の土壌中に常時存在している細菌で、皮膚に感染したり、呼吸器・消化器などに感染して重篤な病状を引き起こすものです。

ちなみに、似た言葉に炭疽病というものがあります。
これは植物の病気で、感染すると主に葉や果実が黒くなり穴が開いて、進行すると枯れていくというものです。

記事によると、報告のあった現場は、ブリティッシュコロンビア州北東部の、フォート・セント・ジョンという町の近郊にある農場で、一週間ほどのうちに野牛がばたばたと死にはじめたらしい。


フォートセントジョンはここ

現地の専門家は、野牛が農場の牧草を食べているときに、土壌中の不活性の菌の胞子に接触した可能性をあげ、同州で報告のあった最初のケースであると述べています。
また隣のアルバータ州でかつて発病があったことから、発症のメカニズムとして土壌の共通性をあげていますが、その一方で、気候変動で不活性の菌が土の表層に出てきたのではないか、と、気になる見解も下していました。

ヒトの発症はないことはないが極めてまれで、動物との接触により感染したとの事例はない、などと書いてあるのですが、土の中に普通に潜んでいる菌が悪さするのですから、うっかりと土いじりなどしていると、得体の知れない病気を仕入れる可能性はあるわけです。

この炭疽症、日本ではどうか、というと、国立感染症研究所のサイトによると、ヒトでは1994年の皮膚炭疽の報告、動物では2000年の牛の炭疽の報告を最後に発生していないそうです。

Photo via Good Free Photos

【ノルウェー】海底レストランとある島の写真

ラトヴィアのネット記事を見ていたら、面白い投稿写真があったので見てみました(アイキャッチ画像の赤枠部分)。

一見すると、港の岸壁か防波堤の端から、建物が海に沈み込んでいるように見えます。
どこかしら、津波か台風にやられた、被災家屋のような印象があります。

記事には写真が32枚投稿されていて、矢印キーで前後の画像表示に移れるようになっています。
中を見ると、船のドックのようなところで、駅でホームに下りる階段のようなものを作っている場面とか、
出来上がった階段?をクレーン船が運んでいる場面、伊豆半島にもありそうな磯場の海岸に沈めている場面などが写っています。

終わりのほうで、その内部のイメージ画像らしきものが出てきます。
部屋状のスペースの前面に広い窓があって、海中の様子が見えるようになっており、
テーブルと椅子が並んでいて、サービスのスタッフらしき人がいる…
どうもここで飲食ができる、というより、海中展望が楽しめるレストランのようです。

記事は画像だけで説明文のようなものはなく、正体がわからないので、
画像のイメージを元に検索して調べたところ、ノルウェーで建設中の海底レストランとわかりました。

場所はノルウェー南部 Lindesnes 県の Spangereid というところです。
近くにはノルウェー最古の灯台というものもある観光地で、まさにノルウェーの南伊豆といったイメージがあります。

Spangereid はここ(Google地図データより)

海中に設けられた構造物の中から、窓を通して海の中を眺められる施設というだけなら日本にも、沖縄とか房総半島の勝浦足摺岬南紀白浜紀伊半島などに海中展望塔というところがあります。モルジブには海底ホテルなるものもあるらしいし、規模の大小はあれど、飲食のできるところも世界のどこかにはあるようですが、そうした既存の施設に対し、ここはどのようなアピールをしているのか。

処々の検索記事を読むと、ここは世界最大の海底レストランだそうで、来年の開業を目指して工事が進んでいるらしい。
確かに上述のイメージ画像を見ると、正面に大きく開いた展望窓は映画館のスクリーンのようで、下手な水族館の水槽や、ましてや飛行機の窓程度の小窓が並んだ海中展望台などは、迫力の点では比較にならないように思えます。
世界最大の呼び込み文句を裏切らない、それなりの料理を提供するようで、旅行関連のサイトなどからは、なかなかの期待を集めているようです。

この写真の近くにもうひとつ、気になる画像がありました。


家が密集した島(赤枠部分)

海ではなく、アフリカのヴィクトリア湖に浮かんでいる島らしい。
投稿されている18枚の写真の中で、ケニアの国旗がはためいています。
旗のある陸地のほうでは、丘の上に地元の人らしき一団が座り込んで、
湖を見つめています。

それにしてもこの小さな島のたたずまいはすごい。
100m四方ほどの広さもないのに、
その中に民家だか商店だかが、都会の旧市街のように密集しています。
嵐や高波が例年、当たり前のように発生する、日本の沿海では考えられない風景です。

多くの家族が暮らしているらしく、
漁師らしき人たちのほかに、母親や子供たちの姿も見えます。
湖で獲れたのか、鮭のような大きな魚が水揚げされています。
「HOTEL」という文字も読める。誰が何しに来るのだろう。
しかしそれ以前に、これらの人たちはぎゅう詰めの島の中で、どんな暮らしをしているのかが大変気になります。

北国の海と南国の湖。
いずれの写真の背景にも、水と魚と人がいます。

ノルウェーの世界最大の海底レストランでは、窓越しに海中を泳ぐ魚を眺めながら、近くで取れた魚介類を優雅に食べている人がいるのかもしれない。
一方アフリカの湖に浮かぶ小島では、ぎりぎりの生活を送る人たちが、近くで取れる魚介類を食べて生きているのかもしれない。
その風景や生業に、上下も優劣もないと思いますが、
自然とのかかわり、水際を泳ぐ魚たちとの接点を比べたとき、
最大と名のつく海中の密室よりも、小さくても外界とつながっている島のほうが、
はるかに広大で自由、健康的に、自分には感じられるのです。