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【カナダ】炭疽病で野牛13頭が死ぬ

人が、インフルエンザのようなウィルスによる伝染病や、破傷風のような細菌性の病気にかかるのと同じように、野生動物や家畜にも、こうした罹患による発症があります。
日本でも、鶏などへの鳥インフルエンザ、豚への豚コレラなどの感染が、最近ニュースをにぎわしました。

カナダで野牛が13頭、炭疽症で死んだとの報道を見ました。

炭疽症あるいは炭疽とは、炭疽菌の感染によって発症する、主に家畜や野生動物のかかる病気です。

炭疽菌とは、自然界の土壌中に常時存在している細菌で、皮膚に感染したり、呼吸器・消化器などに感染して重篤な病状を引き起こすものです。

ちなみに、似た言葉に炭疽病というものがあります。
これは植物の病気で、感染すると主に葉や果実が黒くなり穴が開いて、進行すると枯れていくというものです。

記事によると、報告のあった現場は、ブリティッシュコロンビア州北東部の、フォート・セント・ジョンという町の近郊にある農場で、一週間ほどのうちに野牛がばたばたと死にはじめたらしい。


フォートセントジョンはここ

現地の専門家は、野牛が農場の牧草を食べているときに、土壌中の不活性の菌の胞子に接触した可能性をあげ、同州で報告のあった最初のケースであると述べています。
また隣のアルバータ州でかつて発病があったことから、発症のメカニズムとして土壌の共通性をあげていますが、その一方で、気候変動で不活性の菌が土の表層に出てきたのではないか、と、気になる見解も下していました。

ヒトの発症はないことはないが極めてまれで、動物との接触により感染したとの事例はない、などと書いてあるのですが、土の中に普通に潜んでいる菌が悪さするのですから、うっかりと土いじりなどしていると、得体の知れない病気を仕入れる可能性はあるわけです。

この炭疽症、日本ではどうか、というと、国立感染症研究所のサイトによると、ヒトでは1994年の皮膚炭疽の報告、動物では2000年の牛の炭疽の報告を最後に発生していないそうです。

Photo via Good Free Photos

【カナダ】見捨てられた町とビットコイン

近年、仮想通貨に関する話題をよく見聞きするようになりました。

仮想通貨というのは、円やドルなどと同じく、
物の価値の尺度として流通し、支払いの手段になるものです。
ただし硬貨や紙幣のような実体も、中央銀行のような管理者もなく、
分散したコンピュータネットワーク上に、情報として存在しています。

取引を記録した、台帳に相当するものは、ブロックチェーンと呼ばれています。
これも分散ネットワーク上に存在していて、
その正確な更新には大量の計算(つまりは手間やコスト)を必要とするために、
これに成功したものには報奨として、新たな仮想通貨が発行され渡されます。
この報奨の仕組みはマイニング(mining)と呼ばれ、
そのために更新作業を行う人をマイナー(miner)という…

というのが概要ですが、詳細は参考書その他の情報源に譲ります。

仮想通貨をめぐる話題には、技術としての仮想通貨と、
投機対象としての仮想通貨の2つがあるように思います。
仮想といっても通貨ですので、
売買のタイミングによって為替の差益、差損が発生します。
またマイニング時点の相場によっては、マイナーに莫大な金融資産が転がり込みます。
現在のところ、仮想通貨の相場変動が大きいため、
投機の熱が一段とエスカレートしているように感じています。

仮想通貨にはいくつかあるようですが、
代表格になっているのがビットコインです。

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先日、このビットコインに関する、アラスカの新聞記事を見ました。
日本の山の中にもありそうな、川をせき止めたダムの写真が載っています。
情報技術の先端を行くような仮想通貨と、
自然のほかには何もなさそうな山奥が、どう結びつくのだろう…

記事は少し長めなのですが、
かつて製紙業で栄えたものの、工場の閉鎖後急速に衰えた町に、
ビットコインマイナーがやってきて、
短期間の間に、飛ぶ鳥を落とす勢いで成長したかと思うと、
今度は価格の暴落に苦しむ様子を、物語調で語っているものです。

舞台となっているのはカナダ西海岸、ブリティッシュコロンビア州の、
ヴァンクーバーの北西にある、Ocean Falls という町です。


Ocean Falls はここ(Google地図データより)

ノルウェーのフィヨルドばりの海岸線の中に、ぽつねんとある町のようで、
記事の文言を借りると、この町に通じる航路から眺められる人類の唯一の痕跡は、
“a single power line stretching out from the dam” なのだそうです。

調べてみたところ、20世紀の初頭に製紙工場が置かれ、
一時はブリティッシュコロンビア州で一番の生産量を誇っていたようですが、
コストが上昇して採算が取れなくなり、1970年代に工場は閉鎖されたとのこと。
記事によれば一時5,000人ほどあった人口が、100人を割り込んでしまった。

前述のとおり、マイニングには大量の計算が必要で、
計算環境の安定した稼動のために、大量の電力を必要としています。
Ocean Falls に電力を供給している送電系統は、カナダの電力ネットワークにつながっておらず、
それに目をつけたあるビットコインマイナーが、
格安の費用負担での、大量の電力使用を認めてもらったらしい。
かつての工場のフロアを借り受け、データセンターとしてマイニングを始めました。

進出当初のビットコインの価格は400ドルだったのが、昨年の12月には20,000ドルにまで高騰。
ビットコインマイナーは投資者に対し、
2018年の末には6メガワットを使用し、年間570万ドルをマイニングで獲得、
2021年までには30メガワットを使って17,500ビットコインをマイニングする、
と気炎を上げていたそうです。

先日の北海道の地震では、非常の発電対策として、
老朽化した発電所をいくつか急遽立ち上げて、急場をしのいだ場面がありましたが、
そのときの発電量は20~35万キロワットでした。
1,000キロワット=1メガワットですので、これは200~350メガワットに当たります。
あくまで参考値ですが、マイニングが使用する電力の大きさがわかると思います。

ところが今年(2018)にはいってから、ビットコインの価格が急落し、
設備の増強や株の上場を考えていたマイナーは大きな打撃を受けます。
電力使用量は1メガワットにも届かず、
目標値を当初の6メガワットから1.5メガワットに下方修正しました。

このビットコインマイナーは、転んでもタダでは起きない生粋のアントレプレナーらしく、
冷却ファンの代用に水冷システムを開発して売りにだそうだとか、
計算機が発生する熱で水を温めて、鮭の孵化場に送ろうだとか、
本業を補完するいろいろなビジネスアイディアを考えているようですが、
文明世界からははるかに離れた未開地でもあり、前途が見通せない状況にあるようです。

記事は、Ocean Falls にやってきたビットコインマイナーに対する、
住民の心境を紹介して終わっています。
本質的には、”the pure conversion of electricity into money” であるマイニングを、
懐疑的に見る人がいる一方で、
電気を使ってくれて、それで町がにぎわうならそれでいい、という人もいる。
いずれのコメントの裏にも、年寄りばかりになった町に誰か、
特に若い人がやってくることへの期待がにじんでいました。

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新聞記事によれば、マイニングに適する場所として、
寒冷で、十分な水力発電量があることを条件に挙げています。
以前は新彊ウィグル、内モンゴル、黒龍江省など、
中国の奥地が注目されていましたが、
現在は炭素排出などの問題から、北欧や北米にマイナーの関心が移っているそうです。

記事の写真や、Ocean Falls の地理・歴史を読むと、
自分にはどことなく、北海道のかつての炭田地帯や、
利用者が少なくなって廃止に追い込まれたローカル線の風景が思い出されてきます。
少子高齢化に伴う人口減少で、地方自治体の中には将来の存続を危ぶむところもあります。
こうしたマイナーのアイディアが、過疎化、限界集落対策のヒントになるのかも。

日本ではコストの面で難しいかもしれませんが、将来シベリアなどで、
こうした電気売り、エネルギー売りがビジネスになるのかもしれません。

ビットコインのブームがいつまで続くのかはわかりませんが、
見捨てられた町にとって救世主になるのでしょうか、
それともかつての製紙業のように、
大自然の中に突如として割り込んできて、
大騒ぎをした挙句、廃墟を残したまま去ってゆく…
といった歴史を再現して終わるのでしょうか…

Photo via Good Free Photos

【カナダ】氷山がやってきた?

以前、北海道の流氷のことを書きましたが、リュウヒョウとはどういうものなのか、知らない人も多いと見えて、自分が見たことがあると話すと、氷が海の上を流れているんですか、と聞き返されることがよくあります。春先に、山の融雪が川を流れてゆく光景を思い浮かべているのかもしれません。

これに対し、氷山というものがあります。流氷とは、地球の寒帯地方でできた、海面上の氷が、低緯度の地域に流れて(押し出されて)くる現象のことですが、氷山とは氷河の末端が海に落ちて、山のような姿で海上を漂っているものを指します。流氷が、どちらかといえば平面的なのに対し、氷山は立体的であることがわかると思います。また流氷は、気温・水温といった気候条件がそろえば、比較的広い範囲で発生可能と思われますが、氷河の存在が必要条件である氷山が見られる場所は、かなり限定的といえます。

子供のころ何かの本で、南極の氷山はテーブル状で、北極の氷山は山の形をしている、と書かれていたのを読んだ覚えがあるのですが、山といっても高さはせいぜい数メートルから十数メートルくらいだろう、と思っていました。

最近ノルウェーの新聞の電子版を見ていたら、奇妙な写真が載っていました。北海道の道東地方にもありそうな、草木のない吹きっさらしの丘のふもとの、ありふれた海岸線の風景なのですが、その沖合いに白っぽいビルのようなものが2つ建っている。よおく見ると雪山、いや、氷の山です。ファンタジーアニメのイラストのようなたたずまいに唖然としてしまいました(記事はこちら)。

カナダ東部、ニューファンドランド島のフェリーランドというところに、高さが46mある巨大氷山がやってきたとのことで、そのスケールを話題にしているのかと思いきや、それを見物しに来る人たちの車で大渋滞が起きている、というタイトルになっています。元ネタは他紙からの引用のようで、こんなでかいのは見たことがない、という地元の人のコメントや、今年の発生は600個を越えている、地球温暖化の影響でグリーンランドの氷河からの分離が促進されている… という内容の本文に、氷山とは何ぞや、付近で起こったタイタニック号の沈没にまつわるコラムといった、周辺情報へのリンクがついています。


フェリーランドはここ(Google地図データより)

これくらい大きいと、氷とか浮遊物とかいった概念を越えて、島といったほうがふさわしいようなたたずまいですね。ボートで接岸して、アイスクライミングなど試みる人が出てきそうです。

(アイキャッチ画像はノルウェー紙「aftenposten」電子版より)