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【グリーンランド】極地性の植物が急成長

グリーンランドは北米大陸の北東、北極海と大西洋に面した陸地で、世界最大の島とされています。
面積はおよそ216万平方キロメートルで、日本の国土の5倍以上ありますが、
人口は沿岸部などに5万6千人程度を数えるに過ぎません(数値は国連統計局のデータベースUNDataによる)。

国際的な立場としては、デンマーク王国の一部ではありますが、
自治政府が置かれ、地元先住民を中心とした行政が行われています。
中心都市は南西海岸にあるヌークです。

そのヌークのラジオ局のWebサイトに、北極の植物に関する記事(元のソースはこちら)がありました。
日本の高山でも目にする、シャジンやチシマギキョウのような花の写真が載っています。
ちょっと気になったので読んでみました(ちなみに、同サイトには先住民の言葉によるページと、デンマーク語によるページの2つがあり、翻訳の都合でデンマーク語のページを参照しました)。

地球温暖化は極地の気温も上昇させている。気候が温暖になると極地のツンドラ帯の植物の成長が進行する。
極地性の植物の成長に関する研究成果が、科学雑誌「Nature」に掲載された。それによると:
-過去30年以上にわたって気温が暖かくなっており、植物の高さが上がっている。植物の高度化は気温の上昇に加担している。
ツンドラ帯には地球全体の半分を占める炭素が存在している。
もしツンドラ帯が融解すれば、その炭素が放出され、温室効果が促進される。
植物の高さの上昇が、ツンドラ帯の融解を進行させる2つの理由がある。
秋と冬においては、背の高い植物は積雪に対して有利であり、地表の寒さを防ぐことができる。
春と夏においては、植物が太陽光をより多く吸収するため、融雪が早まる。
分析は、グリーンランド、アラスカ、カナダ、アイスランド、スカンジナビア、シベリアの各地から採取したデータをもとに行われた…

というのが記事のおおまかな内容です。

この記事には、元の論文の一部を切り取ったもので不完全である、といった批判的なコメントがついていて、
植物成長=温暖化進行説はちょっと眉唾臭いのですが、
植物の生育と気候の微妙なつりあいについて、
考えるきっかけを与えているように思えます。

今日、都会においては、いわゆるヒートアイランド対策として、
ビルの屋上を緑化したり、道路や公園の植樹を増やしたりと、
緑の面積を拡大することがおこなわれていますが、
単純に植物を植えることはよいことなのだろうか、
生育が環境に与える影響を、多面的に考察することが必要なのではないだろうか…

写真の植物の高さも上がっているのか、記事には書いてありませんが、
冒頭あげたシャジン、チシマギキョウといった植物は小さいので、
山でうっかり歩いていると登山靴で踏んでしまいそうになります。
日本では富栄養化で、尾瀬などのミズバショウが巨大化している、といった話を聞いたことはありますが、
北アルプスで見かけるような花を咲かせる個体が大きくなる、という情景は、
ちょっと想像しづらいものがあります。

Photo via Good Free Photos