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【アイルランド】ホームレスデモ

人の身のまわりの衣食住は、社会で生きていくうえで大切な事柄ですが、中でも住まいの確保は重要です。
雨風や寒暖など、外界の自然環境から身を護る、食事をする、安心して眠る、くつろぐ場所としての家屋のあり方は、その人の人生観にも深く影響を与えていると思います。

アイルランドのダブリンで、いわゆるホームレスのデモがあったそうです。
この「ホームレス」という言葉、てっきり和製英語なのかと思っていましたが、れっきとした英語であるようで、文中でもしっかり homeless と表記されています。
記事によると、数千の市民が住宅問題の解決や学生寮の充実を要求して市内を行進し、終点で主催者側から何人かが演説した模様。

行進の様子や演説内容の詳細は省きますが、文中、いくつかの固有名詞や数字が出てくるので、確認してみます。

行進を主催したのは National Homeless and Housing Coalition なる団体だそうで、SNSなどで情報を流しているようですが、その活動や話題を扱った報道を、自分はまだ見出していません。

the Garden of Remembrance をスタートして、O’ Connel Bridge まで1時間強、デモ行進した、とあります。
以下のダブリンの地図で確認しますと:

スタート地点の the Garden of Remembrance は、祖国のために命をささげた愛国者を記念した公園です。
O’ Connel Bridge は、その南南東にある橋で、あいだの距離は2kmくらい。
東京でいえば、上野から浅草、渋谷から明治神宮といった距離感覚でしょうか。

演説の中に Jonathan Corrie なる人物が登場しています。
この人は4年前に、Leinster House と呼ばれる、アイルランド議会の議事堂の前の路上で死亡しているのが発見された、ご当地では有名なホームレスらしい。
演説者は、この伝説的なホームレスを引き合いに出して、”Garda stations” に寝ているものばかりがホームレスではない、と言い、議事堂の前で一生を終えた人への黙祷を呼びかけています。

この “Garda stations” ですが、”Garda” というのはアイルランドの警察機構のことで、警察官をそう呼ぶこともあるそうです。
組織の詳細や実態がよくわからないのでなんともいえませんが、”Garda stations”は、派出所ないしは警察署のような、職員の常駐・待機施設なのでしょう。
少なくとも “Garda” という名前の駅に泊まっている、のではありません…
日本の警察はどうなのか知りませんが、交番に一宿一飯をお願いして、全国を旅しているつわものもいるようなので、住処を失った人たちを保護することもあるのかもしれません。

Department of Housing, Planning and Local Government (住宅計画地方自治省?)によれば、9,724人が公設の一時施設(State-funded emergency accomodation)に身を寄せているとあります。
また別の報告として、ホームレスのうち、約8%は学生であるという、ちょっと意外な数字がありました。

これらがどこからの引用なのか、記事には詳しくは書いてありません。
調べてみたところ、同政府機関のサイトに、ホームレスの年次調査結果が載っていました。
その中で “Homelessness Report April 2019” によれば、18歳以上のホームレスは全国で6,584人(ダブリン市は4,401人)、うち男性が3,884人、女性が2,700人(ダブリン市はそれぞれ2,538人、1,863人)、18歳から24歳までが903人、25歳から44歳までが3,896人、45歳から64歳までが1,651人、65歳以上が134人となっています(ダブリン市はそれぞれ582人、2,647人、1,105人、67人)。
ただしこの6,584人の大多数は緊急避難施設や一時避難所などに身を寄せていて、支援の手のまわらないところで暮らしている人はほんのわずかということになっています。
また、高齢者層よりも、働き盛りの年齢層の割合が多い点、女性の比率がそれなりに高い点も興味深いところです。

日本では、厚生労働省がおこなった「ホームレスの実態に関する全国調査」があります(調査結果はこちら)。
平成30年1月の調査では、ホームレスは全国で4,977人、うち男性が4,607人、女性が177人(このほか不明が193人)いるとされています。
ただし、この調査は、公園や地下通路、橋の下などで、テントやダンボールでこしらえた寝床で暮らす、いわゆる路上生活者を対象としていて、インターネット喫茶などを泊まり歩いている、いわゆるネットカフェ難民などの、ホームレス状態が顕在化していない人たちが含まれておらず、実態把握には不完全であるとの批判があります。

日本でホームレスといえば、どちらかといえば貧困や失業などによる、困窮の象徴の感がありますが、かの地では住宅問題として捉えているように思えます。
文面や写真などで推測する限りでは、地震や洪水などの災害で住む家を失い、避難生活を余儀なくされている被災者の姿が重なります。

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【ラトヴィア】デカウサギ特集

犬は狩猟用や牧畜の管理用、あるいは警備用と、もともとは家畜として飼われていたわけですが、近年は愛玩動物、すなわちペットとして飼われているケースが大半と思われます。
こうした愛玩動物に対しては、親から生まれた個体を育てていくという飼育だけにとどまらず、品種を掛け合わせて新しい種類を作っていくといったこともよくおこなわれます。

ウサギももともとは家畜でしたが、欧州のほうではこのウサギを品種改良?して、体長70cmとか、体重7kgといった、大型の品種を作ることがおこなわれてきたようです。
ラトヴィアにそうした伝統?があったのかどうかは定かでないのですが、地元の新聞にウサギの特集記事がありました。

ベルギージャイアント、コーカサスジャイアント、ジャーマンビッグバタフライ、セントニコラスなどの品種ごとに、作られた年代、国、掛け合わせた品種、体長・体重・体格・毛並みの色などの説明があります。
大きなものになると、体長が65~72cm、体重は7kg以上に達するものもあるそうです。
ただし記事自体はこれらの説明文に終始していて、そうした品種が作られてきた背景や用途については触れていません。
他とは独立した記事のようで、何らかのイベントとの関連があるかどうかは不明ですが、保存や品種改良を目的とした団体や催しは、ご当地にもありそうです。

因幡の白兎の話があるように、日本列島にも古来から野生のウサギが住みついていました。
こうした在来種の系統や、どこからやってきたのかについてはよくわからないのですが、その中に日本白色種という白い品種があって、その大型の改良種の品評会が秋田県で催されているようです(案内の記事はこちら)。
リンク先のチラシを見てみると、イベントではこのほかに、日の丸鍋と称するウサギ鍋の試食や、デカウサギもとへジャンボウサギの販売も行われるそうです。

それにしても体重10kgのウサギって一体…

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【カナダ】炭疽病で野牛13頭が死ぬ

人が、インフルエンザのようなウィルスによる伝染病や、破傷風のような細菌性の病気にかかるのと同じように、野生動物や家畜にも、こうした罹患による発症があります。
日本でも、鶏などへの鳥インフルエンザ、豚への豚コレラなどの感染が、最近ニュースをにぎわしました。

カナダで野牛が13頭、炭疽症で死んだとの報道を見ました。

炭疽症あるいは炭疽とは、炭疽菌の感染によって発症する、主に家畜や野生動物のかかる病気です。

炭疽菌とは、自然界の土壌中に常時存在している細菌で、皮膚に感染したり、呼吸器・消化器などに感染して重篤な病状を引き起こすものです。

ちなみに、似た言葉に炭疽病というものがあります。
これは植物の病気で、感染すると主に葉や果実が黒くなり穴が開いて、進行すると枯れていくというものです。

記事によると、報告のあった現場は、ブリティッシュコロンビア州北東部の、フォート・セント・ジョンという町の近郊にある農場で、一週間ほどのうちに野牛がばたばたと死にはじめたらしい。


フォートセントジョンはここ

現地の専門家は、野牛が農場の牧草を食べているときに、土壌中の不活性の菌の胞子に接触した可能性をあげ、同州で報告のあった最初のケースであると述べています。
また隣のアルバータ州でかつて発病があったことから、発症のメカニズムとして土壌の共通性をあげていますが、その一方で、気候変動で不活性の菌が土の表層に出てきたのではないか、と、気になる見解も下していました。

ヒトの発症はないことはないが極めてまれで、動物との接触により感染したとの事例はない、などと書いてあるのですが、土の中に普通に潜んでいる菌が悪さするのですから、うっかりと土いじりなどしていると、得体の知れない病気を仕入れる可能性はあるわけです。

この炭疽症、日本ではどうか、というと、国立感染症研究所のサイトによると、ヒトでは1994年の皮膚炭疽の報告、動物では2000年の牛の炭疽の報告を最後に発生していないそうです。

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【ノルウェー】海底レストランとある島の写真

ラトヴィアのネット記事を見ていたら、面白い投稿写真があったので見てみました(アイキャッチ画像の赤枠部分)。

一見すると、港の岸壁か防波堤の端から、建物が海に沈み込んでいるように見えます。
どこかしら、津波か台風にやられた、被災家屋のような印象があります。

記事には写真が32枚投稿されていて、矢印キーで前後の画像表示に移れるようになっています。
中を見ると、船のドックのようなところで、駅でホームに下りる階段のようなものを作っている場面とか、
出来上がった階段?をクレーン船が運んでいる場面、伊豆半島にもありそうな磯場の海岸に沈めている場面などが写っています。

終わりのほうで、その内部のイメージ画像らしきものが出てきます。
部屋状のスペースの前面に広い窓があって、海中の様子が見えるようになっており、
テーブルと椅子が並んでいて、サービスのスタッフらしき人がいる…
どうもここで飲食ができる、というより、海中展望が楽しめるレストランのようです。

記事は画像だけで説明文のようなものはなく、正体がわからないので、
画像のイメージを元に検索して調べたところ、ノルウェーで建設中の海底レストランとわかりました。

場所はノルウェー南部 Lindesnes 県の Spangereid というところです。
近くにはノルウェー最古の灯台というものもある観光地で、まさにノルウェーの南伊豆といったイメージがあります。

Spangereid はここ(Google地図データより)

海中に設けられた構造物の中から、窓を通して海の中を眺められる施設というだけなら日本にも、沖縄とか房総半島の勝浦足摺岬南紀白浜紀伊半島などに海中展望塔というところがあります。モルジブには海底ホテルなるものもあるらしいし、規模の大小はあれど、飲食のできるところも世界のどこかにはあるようですが、そうした既存の施設に対し、ここはどのようなアピールをしているのか。

処々の検索記事を読むと、ここは世界最大の海底レストランだそうで、来年の開業を目指して工事が進んでいるらしい。
確かに上述のイメージ画像を見ると、正面に大きく開いた展望窓は映画館のスクリーンのようで、下手な水族館の水槽や、ましてや飛行機の窓程度の小窓が並んだ海中展望台などは、迫力の点では比較にならないように思えます。
世界最大の呼び込み文句を裏切らない、それなりの料理を提供するようで、旅行関連のサイトなどからは、なかなかの期待を集めているようです。

この写真の近くにもうひとつ、気になる画像がありました。


家が密集した島(赤枠部分)

海ではなく、アフリカのヴィクトリア湖に浮かんでいる島らしい。
投稿されている18枚の写真の中で、ケニアの国旗がはためいています。
旗のある陸地のほうでは、丘の上に地元の人らしき一団が座り込んで、
湖を見つめています。

それにしてもこの小さな島のたたずまいはすごい。
100m四方ほどの広さもないのに、
その中に民家だか商店だかが、都会の旧市街のように密集しています。
嵐や高波が例年、当たり前のように発生する、日本の沿海では考えられない風景です。

多くの家族が暮らしているらしく、
漁師らしき人たちのほかに、母親や子供たちの姿も見えます。
湖で獲れたのか、鮭のような大きな魚が水揚げされています。
「HOTEL」という文字も読める。誰が何しに来るのだろう。
しかしそれ以前に、これらの人たちはぎゅう詰めの島の中で、どんな暮らしをしているのかが大変気になります。

北国の海と南国の湖。
いずれの写真の背景にも、水と魚と人がいます。

ノルウェーの世界最大の海底レストランでは、窓越しに海中を泳ぐ魚を眺めながら、近くで取れた魚介類を優雅に食べている人がいるのかもしれない。
一方アフリカの湖に浮かぶ小島では、ぎりぎりの生活を送る人たちが、近くで取れる魚介類を食べて生きているのかもしれない。
その風景や生業に、上下も優劣もないと思いますが、
自然とのかかわり、水際を泳ぐ魚たちとの接点を比べたとき、
最大と名のつく海中の密室よりも、小さくても外界とつながっている島のほうが、
はるかに広大で自由、健康的に、自分には感じられるのです。

【極東シベリア】国際猫ショー

サハリンのユジノサハリンスクで、国際猫ショー(Международная выставка кошек)なる催しが開かれたそうです。

主催したのは国際猫連盟(World Cat Federation:WCF)という、素人目にはうさんくさそうな?組織で、アヴァンタージ(Авантаж)という猫愛好家の団体が企画したものであるとのこと(WCFのサイトはこちら)。品種もさまざまな猫74匹が、青年の部・成人の部ならぬ青猫?の部・成猫?の部のそれぞれに出展し、モスクワやハバロフスク、エカテリンブルクから招待された専門家が評価したり、人気投票が行われたりしたようです。
出展した猫たちとは別にセールも行われて、気に入った子猫を選んだり、のちに譲ってもらうべく飼い主と交渉したりするシーンが見られたようでした。

品種としては、シベリアン、アビシニアン、スコットランド、カーラー、ベンガルとかいった名前が並んでいるのですが、門外漢にはさっぱりわからない…

ロシアには、猫をならして芸をさせる芝居小屋があるそうで、あのなつかない連中をあやつれる人たちというのは、どんな才能を持っているのだろう、と常々思っているのですが、こうした猫ファンの底辺のような場所におじゃまする機会があれば、そのあたりの秘密がわかるのかもしれません。

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【スウェーデン】ヘラジカが通行人を襲撃

日本でも山間部やふもとの集落で、野生の獣類に出会うことがあります。
シカやサル、キツネ、カモシカといったところですが、たいていの場合は相手が人間を恐れているので、すぐに逃げてしまいます。
が、中には逆に人間に立ち向かってくるものがあります。クマやイノシシが代表選手です。
時折仕事で山に入った人が襲われて怪我をした、というニュースを見聞きします。

スウェーデンのネット記事を見ていたら、パンダみたいに目の周りにあざができた人が写っていました。
犬を連れて散歩中に、突然現れたヘラジカに襲われて、顎を強打され歯を折られ顔に大怪我をしたとのこと。
この事件に前後してもう一人、やはり犬連れで歩いていたときにヘラジカに蹴倒され、肋骨を折られ肺に穴が開くほどの怪我をした被害者の話が載っています。

この記事は、リンク先のいくつかのサブ記事をまとめたもののようで、それらを読んでいくと、事件のあったのはイェーテボリ(Göteborg)近郊のリンドーメ(Lindome)というところで、2つの事件のあと、警察から要請を受けた地元の猟師によって、ヘラジカが一頭射殺されたそうです。
ただし記事を読むと、バスの待合室にのこのこと入ってきたヘラジカを、恐れた人間が撃ち殺したようで、これが二人を襲ったヘラジカなのかは確かでありません。

確か日本でも、北アルプスの乗鞍岳の畳平で、バスターミナルに迷い込んだクマがパニック状態になって逃げ回り、ハンターによって待合室に追い込まれて始末されてしまった… といった事案があったような気がしましたが、こうしたカタストロフィに至る原因は動物側にあるのか、人間側にあるのか、よくわからなくなってきます。

ヘラジカというのは、北欧からシベリア、北米のカナダなどに分布する大型のシカです。
奈良公園のシカのように、大きな角を生やしているのですが、へらのような形をしているために、この名があるようです。

前述のヘラジカを倒した猟師の話として、この地方は果物がなるシーズンなので、それをお目当てにやってくるヘラジカと、人間が出会う機会が多くなっている、また人が連れている犬に、ヘラジカが神経質になっている、これが事件の背景ではないか、との推測を伝えています。

日本における獣害については、代表選手のクマ類による人身被害の実数が環境省のサイトに載っていました。
これによると毎年50名から100名くらい、多い年では150名ほどの被害者が発生していて、うち2~4名程度の死者も出ているようです。
クマ以外の動物による人的被害もあると思うのですが、資料を見出せていません。
その代わりではないですが、同じく環境省の調査結果として、その他獣類による農作物被害の文献を挙げておきます。こちらのトップはシカのようです。

シカというと人的被害というより、道路に飛び出してきて車と衝突するケースが多いように思いますが、
3ページの、農作物被害の円グラフから推察すれば、シカやイノシシ、サルによる、人への被害もあるのかもしれません。
10ページのグラフを見ると、クマ類による人身被害は年々増加傾向にあるようです。

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【チェコ】プラハ市の交通運賃割引制度

プラハ市ではこの10月から、学生と高齢者を対象とした運賃割引制度をスタートさせる、とのネットの記事がありました。

プラハ市民で60歳を超える人と、26歳までの学生は、一年1,280コルナのクーポンを購入できるというもので、このほかに1ヶ月130コルナ、3ヶ月360コルナのクーポンも用意されるそうです。
現在学生は10ヶ月で2,400コルナ、シニアは5ヶ月で1,100コルナのクーポンが買えるが、
この制度によって学生とシニアは年間60%以上、費用を抑えられるだろう、との関係者の声が載っています。

学生の場合、10ヶ月で2,400コルナということは、12ヶ月では2,400÷10×12=2,880コルナ。
これが1,280コルナになるのであるから、減少割合は(2,880-1,280)÷2,880=55.55…%。
シニアの場合は、5ヶ月で1,100コルナなので、12ヶ月では1,100÷5×12=2,640コルナ。
これが1,280コルナになるのであるから、減少割合は(2,640-1,280)÷2,640=51.51…%。
自分の計算では、お偉いさんが言うほどのコストダウンはなさそうなのですが、実際にはこれ以外に負担があるのでしょうか。

割引によって減少する収益の財源には、市の予算を充てるそうで、その額は2億800万コルナと見積もられているとのこと。

ちなみにチェコの通貨コルナ(CZK)は、10月30日現在、
1 CZK = 4.96 JPY ですので、1,280コルナは6,349円となります。
1ヶ月130コルナは645円、3ヶ月360コルナは1,786円です。
2億800万コルナは10億3112万2039円…

東京近郊であれば、1ヶ月645円の乗り放題切符なんて、2,3日で元が取れそうです。
しかもこのクーポンは列車、路面電車、バス、地下鉄とさまざまな交通機関で使えるようです。
現地の物価水準がわからないのでなんともいえませんが、これは相当の大盤振る舞いではないだろうか。
もっとも東京にも、70歳以上の都民を対象にした、
年間1,000円の負担でバスなどが乗り放題になるシルバーパスの制度(詳細はこちら)があるので、
行政施策としては珍しくないのかもしれませんが…

プラハ市の人口は約120万人で、日本でいえばさいたま市と同じくらいです。
さいたま市の平成30年度の一般会計の当初予算は約5,540億円ということで、
10億円程度の捻出は可能なのかもしれませんが、大丈夫なのでしょうか…

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【アラスカ】カブトムシによる森林被害

カブトムシというと、長い角を一本伸ばした、黒っぽい昆虫のイメージがあります。

小学校の夏休みにどこからか手に入れてきて、虫かごの中に押し込んで、スイカの切れ端か何かを与えていたような記憶がありますが、これの仲間がアラスカで大発生して、広範囲に樹木を枯らしているらしい。

現地の新聞の電子版によれば、spruce tree(トウヒ)が spruce beetle による集団被害を受けて、米国森林局の最新の発表では今年、558,000エーカーの森林が被害を受けた、2016年からの総被害面積は100万エーカー近くにのぼる、ただしこれは空からの観察なので、実態を反映しきれていない…

ちなみに1エーカーとは0.004平方キロメートルなので、55.8万エーカーは2,258平方キロメートル、100万エーカーは4,047平方キロメートルに相当します。参考までに、国土地理院の平成29年全国都道府県市区町村別面積調(URLはこちら)によると、東京都の面積が2,193.96平方キロメートル、滋賀県の面積が4,017.38平方キロメートルになっています。

spruce beetle などのキーワードで画像検索してみると、カブトムシというよりカナブンとかカミキリムシ、ハンミョウのような、積んだ材木の陰からこそこそと出てきそうな連中の写真が上がっています(アイキャッチの画像は spruce beetle とは直接の関係はありません)。
このカブトムシはもともとアラスカに住んでいて、温暖になると発生するので、大発生の原因として専門家は気候変動や、温暖化によって2年かかって成虫になっていたライフサイクルが1年に短縮された可能性を挙げているようです。

このカブトムシの専門サイトがあって、水をかけて落としたり、限定量の殺虫剤を使うなど、対策をアドバイスしているようですが、もし食い荒らされてしまったら、木ごと切るか、枯れた木を取り除くしか手はないそうで、規模の大小はあれど、庭の植木や果樹がダニや蛾の幼虫などにやられたときと同レベルの対応をするしかないことに、意外性を感じています。

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【リトアニア】廃棄物処理場付近の悪臭騒ぎ

どこの国でも規模や様態は異なれど、廃棄物の処理は大きな問題になっているようです。
廃棄物に関する最近のトピックとしては、極小のプラスチックゴミ、いわゆるマイクロプラスチックの拡散、
ゴミとは少し違いますが、微小粒子状物質などとも呼ばれるPM2.5による大気汚染問題などが挙げられます。
一方、ゴミにまつわる悪臭(異臭)をめぐっては、
現状、日本では産業廃棄物処理施設や不法投棄がらみの事案も散見されますが、
多くはいわゆるゴミ屋敷のような、一般家庭ゴミの範疇に収まっているように思えます。

カウナス・メカニカルバイオ廃棄物処理プラント(Kauno mechaninio biologinio atliekų apdorojimo gamyklos)という施設の近くに住む住人が、
当プラントの内部に立ち入って説明を聞いたとの記事(元のソースはこちら)が、リトアニアの新聞の電子版に載っていました。
アイキャッチの画像の中では、近所の住人と思われる20人くらいの人がみな鼻をつまみ、
中にはガスマスクといった物々しい風体をしている人もいて、何がなし異様な雰囲気が漂っています。
写真にはこのほかに、ペットボトルらしき廃物を固めたブロックや処理施設の内部、
敷地内の風景、施設の担当者の説明の様子が写っています。

記事には、カウナス近郊のラムチアイというところの住民から、
夜中に突然悪臭がして子供たちが咳き込んだ、アレルギーのような症状だった、
悪臭は深夜か早朝に発生する、風に運ばれて来るらしく、北風のときは感じないが、
南ないし南東の風のときに悪臭がする…
といった苦情があがり、処理施設に乗り込んで説明を受けたものの釈然とせず、
かえって疑念と不安が深まったとの文章が綴られています。

施設側からは住民に対し、処理施設内部では空気清浄機で悪臭を除いている。
ただし、ある種のバイオゴミの中には肥料化の過程で特殊な悪臭を出すものがあって、それは除くことができない。
また空気清浄機はアンモニアを分解しないが、フィルタで取り除いている。
今年の春、高さ35mの煙突を作って環境問題に対応している… といった説明がされたようです。


ラムチアイ(Ramučiai)はここ

当該施設は「カウナス地域廃棄物管理センター(Kauno regiono atliekų tvarkymo centras)」というところの付随施設らしく、
当センターのホームページに、この施設の稼働開始に関する記事が載っています。
アクセスのページの地図を見ると、確かにラムチアイの南東にあるようです。

ホームページには、受け入れ廃棄物の種類や料金についての説明もありました。
それによると、廃棄物の種類として木材、ガラス、紙、プラスチック、家電、タイヤなどがカテゴライズされており、
そのほかに有害な廃棄物として、蛍光灯や蓄電池、コンクリート、レンガなどが挙げられています。
日本ではゴミの分別については、自治体ごとに細かな違いはありますが、
可燃、不燃、資源の3つに大別され、収集しないとしているゴミもあるので、
その感覚でこのリストを眺めると、大雑把というのか、
紙とか家電とかリサイクルしないのだろうか、
タイヤやバッテリも引き取ってくれるのか、と意外な感に打たれます。
また、日本では一般ゴミと事業系ゴミが明確に区別されていますが、
ここの処理場の場合、個人の持ち込みもできるようです。

施設側の説明の中にもあった、バイオごみについては、
日本にもバイオに特化した廃棄物処理施設というものもあるようですが、
コンポストとして、自宅で肥料化できる装置がホームセンターなどで販売されていて、
においはするだろうけれども、咳き込むといった住人の苦情と、どうしても結びつかない。
昔は田舎に行くと、肥溜めからすさまじいにおいがしていましたが、
除臭の技術も進んでいるだろうし、それが原因とは考えにくいところがあります。

記事の最後には、
リトアニア国内に新たな焼却炉ができるらしい、
ゴミの処理によって生じた微粒子は広範囲に、時間をかけて蓄積するので、
子供たちや孫たちへの影響が心配だ、との、住民の声が載っていました。
臭いもそうですが、冒頭あげたマイクロプラスチックにしてもPM2.5にしても、
目に見えない、あるいは見えにくいものだけに、いっそう厄介な感があります。

かつては工場からの排気や排液が拡散して、いわゆる公害の原因になっていましたが、
現代は一般消費者の廃棄物が、新たな有害の種になっているのかもしれません。

 

【グリーンランド】極地性の植物が急成長

グリーンランドは北米大陸の北東、北極海と大西洋に面した陸地で、世界最大の島とされています。
面積はおよそ216万平方キロメートルで、日本の国土の5倍以上ありますが、
人口は沿岸部などに5万6千人程度を数えるに過ぎません(数値は国連統計局のデータベースUNDataによる)。

国際的な立場としては、デンマーク王国の一部ではありますが、
自治政府が置かれ、地元先住民を中心とした行政が行われています。
中心都市は南西海岸にあるヌークです。

そのヌークのラジオ局のWebサイトに、北極の植物に関する記事(元のソースはこちら)がありました。
日本の高山でも目にする、シャジンやチシマギキョウのような花の写真が載っています。
ちょっと気になったので読んでみました(ちなみに、同サイトには先住民の言葉によるページと、デンマーク語によるページの2つがあり、翻訳の都合でデンマーク語のページを参照しました)。

地球温暖化は極地の気温も上昇させている。気候が温暖になると極地のツンドラ帯の植物の成長が進行する。
極地性の植物の成長に関する研究成果が、科学雑誌「Nature」に掲載された。それによると:
-過去30年以上にわたって気温が暖かくなっており、植物の高さが上がっている。植物の高度化は気温の上昇に加担している。
ツンドラ帯には地球全体の半分を占める炭素が存在している。
もしツンドラ帯が融解すれば、その炭素が放出され、温室効果が促進される。
植物の高さの上昇が、ツンドラ帯の融解を進行させる2つの理由がある。
秋と冬においては、背の高い植物は積雪に対して有利であり、地表の寒さを防ぐことができる。
春と夏においては、植物が太陽光をより多く吸収するため、融雪が早まる。
分析は、グリーンランド、アラスカ、カナダ、アイスランド、スカンジナビア、シベリアの各地から採取したデータをもとに行われた…

というのが記事のおおまかな内容です。

この記事には、元の論文の一部を切り取ったもので不完全である、といった批判的なコメントがついていて、
植物成長=温暖化進行説はちょっと眉唾臭いのですが、
植物の生育と気候の微妙なつりあいについて、
考えるきっかけを与えているように思えます。

今日、都会においては、いわゆるヒートアイランド対策として、
ビルの屋上を緑化したり、道路や公園の植樹を増やしたりと、
緑の面積を拡大することがおこなわれていますが、
単純に植物を植えることはよいことなのだろうか、
生育が環境に与える影響を、多面的に考察することが必要なのではないだろうか…

写真の植物の高さも上がっているのか、記事には書いてありませんが、
冒頭あげたシャジン、チシマギキョウといった植物は小さいので、
山でうっかり歩いていると登山靴で踏んでしまいそうになります。
日本では富栄養化で、尾瀬などのミズバショウが巨大化している、といった話を聞いたことはありますが、
北アルプスで見かけるような花を咲かせる個体が大きくなる、という情景は、
ちょっと想像しづらいものがあります。

Photo via Good Free Photos